「痛いから、動かずにじっとしていよう」
慢性的な痛みに悩むとき、誰もがそう思うはずです。しかし、実はその「安静」こそが、痛みを長引かせる最大の原因になっているかもしれません。
今回は、なぜ痛みがいつまでも続いてしまうのか、その背景にある「痛みの悪循環」の正体を、体の仕組みから分かりやすく解説します。
① 「動かさない」と、体の中で何が起きる?
体を動かさない期間(不活動)が続くと、関節が硬くなるだけでなく、体内では以下のようなトラブルが次々と起こり始めます。
・ 関節や筋肉がガチガチに硬くなる
・ 血流が悪くなる
・ 痛みのセンサーが過敏になり、少しの刺激でも痛むようになる
その結果、「動き始めが痛い」「同じ姿勢を続けていると固まる」「ちょっと動いただけで痛む」といった、慢性痛特有の症状が現れやすくなります。
② 悪化の原因は、あの「コラーゲン」の暴走!?
美容や健康に良いイメージのある「コラーゲン」ですが、実は本来、とても硬くて頑丈なタンパク質です。ゴムのように伸び縮みする別の繊維(エラスチン)と組み合わさることで、私たちの体は柔軟性を保っています。
しかし、体を動かさない状態が続くと、このコラーゲンが「過剰」に作られてしまいます。
しかも、本来ならキレイに並んでいるはずのコラーゲン繊維が、ジャングルのように絡み合い、あちこちで「癒着(くっつくこと)」を起こしてしまうのです。
特に、全身を覆う「筋膜」はコラーゲンが主成分であり、同時に痛みのセンサーが非常に豊富な場所です。筋膜のコラーゲンが絡まって滑りが悪くなると、動くたびにセンサーが引っ張られ、強い痛みを感じるようになってしまいます。
③ 血流が途絶え、脳へ「痛み物質」が送り続けられる
さらに、動かさないことで筋肉の血流が悪くなると、恐ろしい連鎖が始まります。
1. 酸素が足りなくなる
2. 疲労物質が溜まり、筋肉に頑固な「コリ(筋硬結)」ができる
3. 痛みを引き起こす物質がどんどん作られる
これにより、組織が傷ついているわけではないのに、「血流不足のせいで、痛みのスイッチが押しっぱなしになる」という状態が作られてしまいます。
💡 「痛いから動かない」を「安全に動かす」へ
慢性痛の恐ろしさは、以下の「負のループ」にハマってしまうことです。
痛いから動かない
↓
血流が悪くなり、コラーゲンが癒着して硬くなる
↓
さらに痛みが出やすくなる
このループを断ち切るためには、ただ安静にするのではなく、「適切な範囲で、少しずつ動かしていくこと」が何より重要です。
・ 適度な運動で血流を促す(痛み物質を流す)
・ ストレッチ等でコラーゲンの癒着を防ぎ、滑りを良くする
・ 痛みをかばう「おかしな動きのクセ」を修正する
痛いときは無理をせず、でも完全にサボらせず。「心地よく動かせる範囲」を少しずつ広げていくことが、長引く痛みから抜け出す一番の近道です。
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