「さあ、練習を始める前に、まずはいつも通りのウォーミングアップから」
スポーツをやっている人なら、誰もが毎日のように行う流れです。
では、あなたに質問です。
「あなたにとって、ウォーミングアップの目的は何ですか?」
筋肉を温める、関節を柔らかくする、心拍数を上げる……これらはすべて正解です。
しかし、高いパフォーマンスを目指す人や、ケガをせず長くスポーツを楽しみたい人が最も意識している目的は別にあります。
それは、「今日の自分の状態を知ること(情報収集)」です。
■ 全員で同じメニューをこなす「決まった流れ」の落とし穴
多くのチームや練習環境では、決まったメニューのウォーミングアップを全員でこなします。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
全体で行うアップは、あくまで最低限の共通メニューに過ぎません。
・昨日までの疲労の残り具合
・気温や湿度による身体の重さ
・左右のバランスや、重心のわずかなズレ
これらは毎日、そして人によって全く違います。
それなのに、全員で同じメニューを何も考えずに「作業」としてこなしていると、自分の身体が発している【小さな違和感】を見落としてしまうのです。
■ ウォーミングアップは、身体からの「情報収集タイム」
ウォーミングアップの本質は、単に体温を上げることではありません。
100%の力でプレーする前に、「今日の自分の身体はどうなっているか?」という情報を拾い上げる時間です。
例えば、動きながら次のようなチェックをしてみてください。
・「いつもより、股関節がスムーズにハマる感じがしないな」
・「右足に体重を乗せたとき、少し不安定な気がする」
・「肩甲骨のまわりが、いつもより硬いな」
これらは、全力で走り出したり、ボールを追いかけたりし始めると、意識が外に向いてしまうため気づけなくなります。
この繊細な違和感に気づけるのは、ウォーミングアップのタイミングだけなのです。
■ 「温まったから大丈夫」が大きなケガを招く
何度も同じ場所を痛める人に話を聴くと、多くの人がこう言います。
「思い返せば、アップの時からちょっと違和感はあった。でも、動いているうちに体が温まってきて、気にならなくなったのでそのままやっちゃいました」
動いているうちにアドレナリンが出て、一時的に違和感を忘れてしまうことはよくあります。しかし、「温まったから大丈夫」は、身体の問題が解決したわけではありません。
違和感を無視して「まぁ、なんとかなるだろう」とプレーを続けた結果、限界を迎えて大ケガにつながってしまうのです。
■ 明日からできること:「テンプレート」から一歩抜け出す
明日からのウォーミングアップを劇的に変えるために、決められた回数や順番をこなすことだけを目的にするのをやめてみましょう。
「今日はここが硬いから、このストレッチを少し長めにやろう」
「右のバランスが悪いから、そこを修正する動きを一つ足そう」
といった、自分の状態に合わせた微調整を大切にしてください。
ウォーミングアップは、ただの「練習前の儀式」ではありません。最高のパフォーマンスを発揮し、ケガを未然に防ぐための、あなたとあなたの身体との対話の時間です。
今日の自分の状態を正しく知ること。それこそが、一歩上のステージへ進むための第一歩です。
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