😥 年齢を重ねると肘が痛くなるのはなぜ？「腱」の老化と日常の注意点

皆さんは最近、肘に軽い違和感や痛みを感じることはありませんか？テニスやゴルフなど特定のスポーツをしていないにも関わらず、「以前より肘が痛むようになった」「重いものを持つとズキッとする」といった経験は、特に40代以降の方に多く見られます。
これは、単なる疲労ではなく、年齢と共に進行する「腱（けん）の老化」が深く関わっている可能性が高いのです。

1. 肘の痛みの正体：ターゲットは「腱」

肘の痛みで最も多いとされるのは、いわゆる「テニス肘（上腕骨外側上顆炎）」や「ゴルフ肘（上腕骨内側上顆炎）」と呼ばれるものです。これらの名称から、スポーツ選手特有の怪我だと思われがちですが、実際はスポーツをしない方、特に家事やデスクワーク、力仕事をする中高年層に多発します。

重要なポイントは「腱」です。

 腱とは？
筋肉と骨を繋いでいる、弾力のある丈夫な組織です。肘関節の周囲には、手首や指を動かすための重要な腱が集中しています。
なぜ痛むのか？
長年の繰り返し動作（キーボード操作、フライパンを振る、重いものを持つ、雑巾を絞るなど）により、この腱の付着部に微細な損傷が蓄積します。

若い頃であれば、損傷してもすぐに修復されます。しかし、年齢を重ねると、この修復機能が追いつかなくなり、炎症や変性が慢性化してしまうのです。

2. 40代から加速する「腱の変性」とは？

腱の老化、すなわち「腱の変性」は、一般的に40代前後から目立ち始めます。この変性とは、組織の弾力性や柔軟性が失われ、もろくなる状態を指します。

変性が進む具体的なメカニズム

血流の低下：
年齢と共に腱への血流が徐々に悪くなります。血流は、修復に必要な栄養や酸素を運び、老廃物を取り除く役割を担っているため、これが滞ると修復が遅れます。
コラーゲンの質の変化：
腱の主成分であるコラーゲン線維が乱れ、質が低下します。これにより、腱が硬くなり、小さな負荷でも断裂しやすい状態になります。
 微細損傷の蓄積：
上記のような修復能力の低下した状態で、日常的な動作を繰り返すことで、腱の付着部に炎症が起こり、慢性的な痛みへと繋がります。

特に肘関節の外側（テニス肘の部位）は、手首を反らしたり指を伸ばしたりする動作で常に引っ張られるため、日常で非常に負担がかかりやすく、痛みが発症しやすい場所です。

3. 日常生活でできる予防とケア

肘の痛みを防ぎ、悪化させないためには、日常生活の中で意識的なケアが必要です。

 予防と悪化防止のための3つの行動

 動作の見直しと休憩:
・キーボード操作: 手首を固定しすぎず、腕全体を使って操作するよう意識しましょう。
・重いものの持ち方: 肘だけでなく、腕全体や体幹を使い、肘に負担が集中しないように工夫します。
・定期的な休憩: 長時間同じ作業を続けるのは避け、ストレッチをしたりしましょう。
 ストレッチと筋力維持:
・ストレッチの習慣化: 筋肉の緊張をほぐし、腱への負荷を軽減します。
・ 握力の維持: ボールやハンドグリップを握る運動は、血流を促し、腱の健康維持に役立ちます。ただし、炎症が強い時は逆効果になるため、痛みのない範囲で行います。
アイシングと温熱療法:
・急性期の痛み（ズキズキする強い炎症）： 患部を冷やして（アイシング）炎症を鎮めます。
・慢性的な痛みや違和感（鈍い痛み）： 患部を温めて（温熱療法）血流を改善し、修復を促します。

4. 「年のせい」と諦めないで

肘の痛みは、進行すると日常生活に支障をきたし、生活の質を大きく下げてしまいます。
しかし、腱の変性が背景にある場合でも、早期に適切な対処（安静、ストレッチ、鍼灸治療、場合によっては医療機関での治療）を行うことで、症状の改善は見込めます。
「おかしいな」と感じたら、まずは無理せず休ませ、セルフケアを試みてください。
ただ、痛みが続く場合や悪化する場合は、整形外科を受診し、腱の状態を専門的に診てもらうことを強くお勧めします。

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